虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「アベティーラの血を引く連中が全員、馬鹿で助かったよ。そのおかげで、異能を発現できないエクリーユは落胤だと信じ込ませることが出来たんだから」

「何を……」

「ああ、でも……。王妃は手強かったな。腹を痛めて産んだ子が無能だと信じたくなくて、随分抵抗していた。その結果リシーロが生まれたのは、誤算だったなぁ……」

 彼が口にする真実は、素直に受け入れたくないことばかりだった。
 幼い頃、自分だけに見せてくれた頼りがいのある兄という幻想が、ガラガラと音を立てて崩れ去っていく。
 リドディエから兄に2面性があることを知らされていなかったら、今頃泣き崩れていただろう。

「あれ? そんな反応をするってことは、リドディエから、教えてもらってなかったのか。なら、言わなきゃよかったな……。これ以上君の好感度を下げても、いいことなんて何もないのに……」

「全部、兄様が仕組んだことなの……?」

「そうだよ。俺がエクリーユを孤立させるために、裏で手を回したんだ」

「どうして、そんなことを……!」

 悲しみよりも怒りに打ち震えた少女は、声を荒らげた。
 しかし――そんな妹の態度は想定済みとばかりに、彼は悪びれもなく語る。
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