虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「そう、か。エクリーユは、こいつのそういうところに惚れたのか。リドディエは、俺とは違って、取り繕うのが上手いからなぁ……」

 ムガルバイトはエクリーユから視線を逸らすと、無表情で少女の隣に佇むリドディエをじっと見つめた。

「ずっと、君が憎くて堪らなかった。その感情を、俺にはとてもかわいい妹がいるんだと流布することで、鎮めようとしたのは悪手だったみたいだね」

「ああ。君が立ち回り方を誤ったかたこそ、エクリーユは僕を選んだ」

「そんなふうに納得できれば、苦労はしないよ」

「そうだな。僕たちは同じだからこそ、言葉を交わしただけではわかり合えない」

「やるのかい?」

「それしか方法がないからな」

 陛下は親友の挑発に受けて立つと静かに宣言する。
 その後、流れるような動作で臨戦態勢に入った。

「俺はこの勝負に勝ち、エクリーユを取り戻す……!」

「彼女は渡さない。何があっても、絶対に」

 2人はほぼ同時に腰元へつけた鞘から剣を取り出し、それを振るってぶつけ合う。

(最初の一振りは、互角のように見えたけれど……)

 ムガルバイトは2度目の攻撃以降、手も足も出なくなってしまった。
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