虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 しかし、それを黙って受け入れられるほど少女は国王を信頼してなどいない。
 だからこそ、納得いかないと言わんばかりに御託を並べ立てる。

「わ、私は……。陛下に引き留められるような、価値のある人間では……」

「君は一国の姫だ」

「ずっと、無能と呼ばれていて……」

「異能を顕現させた以上、誰もそんなふうには呼ばん」

「家族に牙を剥いた、重罪人なのよ……?」

「僕とあの男が、奴らが純粋なる被害者ではないと証明する」

 レべラゼム王国にはいられない理由をどれほど並べ立てても、リドディエはけして少女から手を離さなかった。
 何を言ってもここから逃げ出すことは叶わないのだと悟った少女は、彼に告げる。

「どうして、こんなにも……。私に寄り添ってくれるの……?」

「君を死なせたくなかった」

 国王は紫の瞳を切なげに細めると、はっきりとした口調で告げる。

(おかしな話だわ……)

 エクリーユは不思議な気持ちでいっぱいだった。
 自分には、彼から「死んでほしくない」と望まれるほどの深い仲になった覚えはなかったからだ。
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