虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
9・幸せな王妃
 ムガルバイトの先導によって行われた進軍は、イトゥクの全面降伏宣言によって中止。
 双方、兵士が数百人規模で怪我をしたくらいの被害で済んだらしい。

(ムガルバイト兄様は拘束したし、イトゥク兄様は王の器ではないもの……。あの国の人間が私たちにかかわることは、もうないでしょう……)

 エクリーユがそう、ほっと一息ついたのもつかの間。
 アティール王国では、大変なことが起きていたらしい。
 レべラゼム王国から撤退した兵士たちを待ち受けていたのは、王家のやり方に異論を唱えていたレジンスタンスだ。
 彼らは騎士たちを引き連れて戻ってきたイトゥクに牙を向く。
 彼らは地下牢に捕らえられていた王族たちにお灸を据えたのち、王政制度の廃止を高らかに宣言した。

(国民たちに是非を問う民主主義……。うまく行けばいいけれど……)

 自国に思い入れのないエクリーユには、興味関心をいだけぬ話だ。

(私が恨んでいたのは、家族だけ。国民たちには、なんの罪もないわ。彼らがなんの憂いもなく、今後も過ごせますように……)

 少女はアティール王国から遠く離れた地で人々の安寧を祈りながら、今日もリドディエの隣で穏やかな日々を送っている。
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