虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「ムガルバイト兄様とあの女は、これからどうなるの?」

「エクリーユが彼らに、どんな罰を与えたいかにもよるだろうな」

「私とリドディエ様の邪魔をしなければ、なんでもいいわ……」

「いいのか」

「ええ。なんだか、疲れてしまって……」

 エクリーユが家族に虐げられていたのは、過去のことだ。
 今は国民たちからも黒百合の君と崇められるようになったし、リドディエがそばでたくさんの愛を注ぎ込んでくれる。

「過去を悔やむより、今を楽しみたいと思ったの」

「それは、いいことだ」

「こうして気持ちを切り替えられたのは、リドディエ様のおかげよ」

「僕の?」

「ええ。あの時、あなたが私を連れ去ってくださらなかったら……。きっと、恐ろしい未来が待ち受けていたでしょうね」

 兄の策略に絡め取られ、真実を知らぬまま、ムガルバイトに溺れていた。
 そんな生活を脳裏に思い浮かべた少女は、ゾッとする。

「リドディエ様の婚約者になれて、本当によかったわ」

「本当に、僕でいいのか」

「もちろん。私は、あなたじゃないと駄目なの」

「そう、か……」

 彼はあまり嬉しくなさそうな反応をすると、紫色の瞳を苦しそうに細めた。
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