虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「リドディエ様からそんなふうに望まれるほどの交流なんて、なかったのに……」

「エクリーユの話は、あの男からよく聞かされていた。百合の花のように美しく咲き誇る、可憐な妹がいると……」

「それは、妹のことでしょう? あの子は、白百合と呼ばれているもの……」

「いや。あの男は……」

 自分でも気づかぬうちに唇から飛び出ていた声を耳にした王は、実際に面と向かって顔を合わせていなくとも、他者へ入れ込むことはできると言わんばかりの反応を見せる。

 しかし――エクリーユがリシーロの話をした直後、難しい顔で黙り込んでしまった。
 少女は真紅の瞳を悲しそうに伏せると、か細い声を響かせる。

「止めましょう。今となっては、どうでもいい話だわ……」

「エクリーユ……」

「お兄様に嫌われた私に、生き続ける理由なんてないの」

「たくさん傷ついた分だけ、これから人生を楽しめばいい」

 自ら命を絶とうとする少女を、リドディエは静かに諭し続ける。

 だが……。
 エクリーユの意思は固かった。
 このまま生き続ける道は選べないと、悲しそうに目を伏せる。
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