虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(すべてが思い通りにいけば、苦労はしていないわね……)

 そもそも彼がそんな力を持っているのであれば、とっくの昔に使っているだろう。
 こうしてなんの異変も感じることなく呑気に会話を続けていられた時点で、その線はないと考えるべきだ。

(それを残念に思っている時点で、やはり私には……)

 ――エクリーユが唇を噛み締めたまま、暗い表情で俯き続けていたからか。

「結論を今すぐに出せとは言わない。ここでゆっくりと心の傷を癒やしながら、考えておいてくれ」

 彼は優しい声音でそう呟くと、こちらに譲歩するような提案をしたあとゆっくりと両手を離した。

(あまりにも、私に都合がよすぎる提案だわ……)

 それだけ自分に好意をいだき、死なせたくないと思っている証拠なのだとしても――エクリーユは彼の気持ちを、疑わざるを得なかった。

(レべラゼムの国王で、お兄様の友人……)

 自分が彼について知っている情報は、これくらいしかない。

(彼を信じると、すぐに答えを出すべきだったかしら……)

 こんな状態でリドディエの手を取ったところで、後々トラブルになるだけだ。
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