虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「選べ。ここで死ぬか。俺たちの慰み者になるか――」

 ――この日に戻れるのなら。

 エクリーユは考えることなく、即座に前者を選び取るだろう。
 しかし、純粋無垢な少女はこれから自分の身に待ち受ける恐ろしい出来事を想像もできず――。
 死よりも恐ろしいことは何もないと考えた結果、後者を選択してしまった。

「い、いや……っ。死ぬのは……っ。なんでもします……! だから……っ」

「ツゥエン」

「ほんとにいいの? 兄上」

「ああ。好きにしろ」

「やった。フォセティ! 一緒にやろうぜ!」

 真紅の瞳から涙を流して懇願する妹の姿を冷めた目で見つめた長男は、剣を鞘に収めてその場を立ち去った。
 彼に名を呼ばれた次男は嬉々として三男を呼び寄せ、そこからエクリーユの永遠に終わらぬ悪夢が始まる。

(なんでもするなんて、言わなければよかったのに……)

 命さえ助かれば、いつかは幸せになれる。
 そんな言い伝えは、無意味な幻想だ。

 そう思い知らされたエクリーユの心は、彼らから暴行を受けるたびにどんどん荒んでいく。
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