虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「ねぇ、見て。あれ……」

「第7子……」

「違うでしょ? 不義の子なんだから……」

「血で汚れたドレスを、纏って歩くなんて……」

「赤い瞳と道化して、不気味だわ……」

 あの日を境にエクリーユは余所者や不義の子として見られ、使用人よりも最下層の扱いを受ける羽目になった。
 己の血に寄って汚れたドレスを身に着けて廊下を歩くたびに、下女の心ない言葉に晒される。

(私は、生まれてきてはいけなかったの?)

 底の見えない奈落に叩き落とされたエクリーユは、何度も自問自答を繰り返す。
 どれほど兄姉たちに愛される姫に戻ろうと勇気を振り絞ったとしても、無意味だった。

 姉や兄は傍若無人に振る舞い、自分に酷いことばかりをする。
 面と向かっての暴言だけなら、まだいい。

 突き飛ばされたり、お茶会の最中に紅茶を勢いよくぶち撒けられたりと、身の危険を感じるようなことばかりをされては堪らない。

(不義の子。余所者。無能女……。どうしてみんな、そんな酷い名で私を呼ぶの……?)

 彼らの口から聞こえてくるのは、侮蔑の視線と心ない呼び方ばかり。
 いつしか、誰も自分の名を呼んでくれなくなった。

 それを嘆いていれば、目の前に影ができた。
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