虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「貴様……っ。ムガルバイトを王にするため、無能と偽り続けていたのか……!?」

「嫌だわ、お父様ったら。私がそんな器用なこと、できるわけがないでしょう?」

「わ、私は! 王座から降りる気は……!」

「それを決めるのは、私ではなく国民よ」

 5人の子どもたちは大なり小なりエクリーユを加害したが、2人の兄は例外だった。
 1人は己の身かわいさで、エクリーユが傷めつけられる姿に見て見ぬふりを続けた。
 そして、もう1人は――自分を守ろうとしてくれた。

 それが、先程父親が口にした名前の男。
 第5子として生まれた4男のムガルバイトだった。

 この場に彼の姿があれば、国王の怒りは兄に向いていただろうが――残念ながら、ここにあの人はいない。

 懇意にしている隣国の友人へ、会いに行ったからだ。

(お兄様を巻き込むわけには、いかないもの……)

 己は最高のタイミングで異能に目覚めた。
 それを喜べば、少女の周りに揺蕩う炎の勢いが強まった。
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