虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「お、落ち着け! 力を鎮めるんだ!」

「お父様ったら……。何をそんなに、恐れる必要があるの? 私はまだ異能に目覚めたばかりのひよっこ。家族みんなで力を合わせて襲いかかれば、一溜りもないのに……」

 口元に歪な三日月を浮かべたエクリーユは、挑発するように周りを見渡した。

(どうしてみんな、怯えているのかしら? 幼い声から異能に目覚め、私を虐げるためだけに特別な力を奮ってきたくせに……)

 普段は喧嘩っ早い兄たちまでもが青ざめた表情で直立不動になっている姿が、おかしくて仕方がない。

(ワンスお兄様は、騎士団の副団長として名を馳せたはず……。周りの兄妹と同じような反応をしているようでは、全然駄目ね)

 所詮は真実に気づけず、実の妹を無能呼ばわりした集団の一味だ。

(どれほど他者から賞賛を受けようとも、所詮は猿山の大将。大したことのない小物だわ……)

 エクリーユは、一回り違う兄に向けて軽蔑の眼差しを向けた。
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