虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(生きている意味なんて、あるのかしら……?)

 何度目かわからぬ自問自答をした直後、くすんくすんと嗚咽を漏らしんががら泣いていた時のことだった。
 聞き馴染みのない声が、頭上から聞こえてきたのは――。

「エクリーユ……?」
「ひ……っ」

 それが己を虐げる家族のものだと勘違いした少女は、恐怖に恐れ慄く。

 自分を慰めてくれる乳母の姿は、どこにもないのだ。
 孤立無援な状況を狙って彼らから寄って集って暴行を受けたら、今度こそ耐えられない。
 心がポッキリと折れてしまうと恐れていた。

「どうしたの? 大丈夫……? 具合でも、悪いのかい……?」

 身体を小刻みに震わせるこちらの姿を、不憫に思ったのか。

 少年は心底心配していると言わんばかりの表情をしながら、エクリーユの許可なく細い身体に両手を伸ばした。

「いやぁ……!」

 今まで散々、兄妹たちから虐げられて来たのだ。
 甘い顔で近づいてきた人間など、信頼できるはずがない。
 少女はその手を弾き飛ばし、四肢を動かして必死に抵抗を試みる。
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