虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(やっぱり私は、幸せになんかなってはいけないのね……)

 絶望でいっぱいになったせいか。
 真紅の瞳からは、静かに涙がこぼれ落ちる。

「ははっ。ほんとにグズだなぁ。こんなのが姫とか、王家の面汚しもいいところだ!」

 少女は何度も希望を見出すたびに、奈落の底へ突き落とされてきた。
 異能力を発現できていない以上、自身の扱いはつねに最下層。
 本来であれば、兄姉と対等に話し合う資格すらない。

「ご、ごめんなさい……っ」

「エクリーユ……。謝らなくていいんだよ」

「なんでも、言うことを聞くから……っ!」

 その場にしゃがみ込んだ少女は、急所を守るように膝を抱えて丸まった。

 普段であれば暴行を受け入れる合図と受け取って襲いかかるが、今日はいつまで経っても四肢に痛みが走ることはない。
 それは間違いなく、ムガルバイトがすぐ近くにいるからだった。
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