虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「い、痛……っ」

「植物よ! 姉様の動きを封じなさい!」

「きゃあ……っ!」

 無能な少女は、抵抗できぬまま四肢を拘束されてしまう。

「う、く……っ。苦し……っ」

「ふふ……っ。無様ね? 姉様……! もっと、痛めつけてあげるわ……!」

 少女は、圧死してしまいそうな錯覚に陥りながら真紅の瞳を苦しげに細めた。
 そんな中、月の光に照らされて怪しく輝く鋭利な刃物が末姫の手に握られていると気づき――。

「ひ……っ。や、やめてぇ……っ!」

 死を覚悟した。
 エクリーユは瞳から大粒の涙を流してリシーロへ助けを求めた。
 しかし、嗜虐的な笑みを浮かべる彼女の手は止まらない。

「いやぁ……!」

 バタバタと四肢を動かして暴れるエクリーユの拒絶も虚しく、ナイフが勢いよく己の身体に降ろされた。

 己の心臓を貫くとばかり考えていた少女は、その痛みに耐えるためにぎゅっと両目を固く閉じる。
 しかし、いつまで経っても耐え難い激痛を感じることはなかった。

(なんだか肩が、スースーするような……?)

 ゆっくりと瞳を見開けば、こちらをつまらなさそうに見つめる妹と目が合う。
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