虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(やり返さなければ)

 ――その直後、己の心に憎悪の炎が灯る。

『やめてぇ、だってよ!』

『ははは! 全部異能を発現できなかった、てめぇのせいだろうが!』

『かわいこぶっても、許してやんねぇ』

 兄たちから寄って集って暴行を受ける。
 思い出したくもない最悪の光景が、繰り返し脳裏に再生された。

『不義の子が……!』

 汚物を見るような父親の視線。

『あなたさえいなければ、私はリシーロを産まなくてよかったのに……!』

 無理やり身体を暴かれたのはお前のせいだと、責任転嫁をしてきた母親。

『王家の恥晒しですわね』

 こちらを小馬鹿にする姉。

『お姉様って、本当に惨め!』

 あとから生まれたくせに、異能を顕現させて何もかもを手に入れた妹─
 ─。

(後天的に異能を発現させて、あいつらを見返してやりたい……!)

 エクリーユの願いに共鳴し、己の身体に纏わりつく炎の勢いが増す。

 しかし、熱さは感じなかった。

(私は、無能なんかじゃないわ……!)

 こうして少女が脳裏に思い浮かんだ噂話を否定すると、すべてを燃やし尽くさんとばかりに燃え盛る火が本棚に燃え移る。
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