虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
 それがパチパチと弾ける音とともに蔵書が焼かれて灰になる光景を目にし、エクリーユは歓喜した。

(これが、私の異能……! 怒りや憎悪を、炎に変えるのね……!)

 無能と呼ばれた時から、ずっと夢見ていた。
 自分が異能を使える日が訪れることを。

(努力が、報われたんだわ……)

 エクリーユは黒猫から手を離して先代の手記を抱きしめると、恍惚とした表情で燃え広がる炎を見つめた。

(この力さえあれば、迫害されなくて済む。第2王女として、家族に受け入れてもらえるはずよ……!)

 今日は年に一度の家族会議が行われる日でもあり――隣国のレべラゼムで、国王が盛大な生誕祭を開く日でもある。
 彼と親交深いムガルバイトはその式典に出席するため、不在にしていた。

(これは神様が与えてくださった、最初で最後のチャンスなのね……!)

 ほかの兄姉たちから虐げられる自分を守ってくれた、大好きな第4王子を巻き込むことなく復讐できる。
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