虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「にゃあん」

 2人が感動の再会を続ける中。
 女性たちの間に大人しく挟まっていた黒猫が、「僕のこと、忘れてないよね?」と批難するように鳴き声を上げる。

(そうだわ。黒猫さん……!)

 エクリーユは彼女との再会を喜ぶあまえい、すっかり獣の存在が頭からすっぽりと抜け落ちてしまっていた。

 少女はこのまま抱きついていたら小動物を潰してしまうと焦り、慌てて乳母から距離を取る。

 突然身体を離した姫の姿に彼女も驚いていたが、胸元に黒猫がいると気づいてようやく合点がいったようだ。
 テラマは猫目をじっと見つめ、口元を綻ばせた。

「お勤め、ご苦労さまです」
「にゃあ」

 乳母に労りの言葉をかけられた黒猫は、「苦しゅうない」と言うように目元を和らげる。
 その様子をぼんやりと観察していたエクリーユは、思い切って彼女に問いかけた。

「この黒猫さんを、知っているの?」

「ええ。もちろんですよ。こちらの方は、陛下の使い魔であらせられます」

「んなぁ~」

 乳母の紹介を受けた黒猫は、「えへん」と威張るように胸を張る。
 そんな愛らしい獣の姿を目にした少女は、真紅の瞳を和らげて小動物の首筋をころころと指先で転がした。
 その様子を微笑ましそうに見つめたテラマは、補足説明を行う。
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