虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「ええ。陛下は姫様を、とても気にしていらっしゃいますよ」

「私たち、この間まで……言葉を交わしたことすらなかったのに……」

「面と向かって会話をしなくとも、他者を愛することはできます。姫様には、難しいでしょうか」

「……そう、ね……。他者の気持ちは、よくわからないわ……」

 自分に愛を注いでくれたムガルバイトがリシーロを選ばなければ、愛とはなんて不思議なものなのだろうかと思えたかもしれないが……。

 彼が己を捨てて妹を優先した時点で、少女は何を信じればいいのかすらも見失っていた。

「でしたら、陛下と過ごす時間をお増やしになったらいいかと思います」

 テラマは名案を思いついたとばかりに優しく微笑むと、戸惑うエクリーユの背中を押す。
 少女は目を白黒とさせながら、困惑の色を隠せぬままポツリと疑問を投げかけた。
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