虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「で、でも……。お仕事が、忙しいでしょう……?」

「いいえ。姫様がお会いになりたいと望むのでしたら、いつでも案内するようにと仰せつかっております」

「私が行ったら、迷惑なんじゃ……」

「きっと、喜ばれますよ」

「なぁん」

 乳母の言葉に同意をするかのように胸元で鳴き声を上げた黒猫が、ぴょんっと床の上に飛び降りる。

 その後、トタトタと開け放たれた扉から廊下に出て行ってしまった。
 まるで、「こっちにおいで」と自分を誘導しているかのように――。

「ま、待って! 黒猫さん……っ!」

 エクリーユは着慣れないドレスの裾を踏んづけて何度かつんのめりそうになりながらも、よたよたと覚束ない足取りで四肢を動かし、軽やかに大地を駆ける獣を追いかけた。
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