虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「エクリーユの表情は、とても可憐で……食べてしまいたくなるほど甘美な果実のようだ……」

「ひゃ……っ。だ、駄目よ……っ。そんな……っ。汚い、から……っ!」

「君を構成するすべてに、穢らわしいところなどありはしない」

 はむはむと味わうように舌で転がす姿を見るだけで、恥ずかしくて仕方がない。
 エクリーユの頬は真っ赤に染まり、経験したことのない感情が心の奥底から湧き上がってくるのを止められなかった。

(この気持ちは、一体……?)

 家族の誰とも似ていない黒髪を愛おしそうに唇に含む彼が、何を考えているのか知りたい。
 そんな気持ちに苛まれた第2王女は、精一杯背伸びをして己の毛先を弄ぶ彼の手首を掴んだ。

「どうした」

「な、なんだか……。変、なの……。身体が、熱い……。ぽかぽか、して……」

「それは僕の愛を受け取り、喜んでいる証拠だ」

「これが、愛……?」

「ああ」

 エクリーユが純粋無垢なのをいいことに、リドディエは間違った知識をさり気なく植えつける。
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