虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
『やめて、お兄様! 助けて!』

『縋りついてくんじゃねぇよ! この無能が!』

『きゃあ……っ!』

 それでも――ここでちゃんと言わなきゃ、後悔する。
 そう思ったから、エクリーユはか細い声を響かせた。

「捨てないで……っ」

「エクリーユ……」

「いい子に、するから……っ」

「ああ。そばにいる」

「え……?」

 彼は困惑する第2王女に向き直ると、細い身体を優しく抱き上げた。
 少女が突如感じる浮遊感に戸惑っていると、リドディエは申し訳なさそうに謝罪をした。

「不安にさせたな。試すようなことをして、悪かった」

「リドディエ、様……?」

「僕もまだ、君との距離感を測りかねている」

「それは……。無理も、ないわ……。出会った、ばかりですもの……」

「ああ。だから、時間をかけて互いのことを知っていこう」

 どこか悲しそうに目を伏せた第2王女の姿を目にした彼は、少女の小さな手を大きな指先で包み込む。
 繋いだ手から伝わる熱にドキドキと胸を高鳴らせれば、リドディエの低い声が紡がれた。
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