虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「嫌なことは、はっきりと拒否してくれ。二度としない」

「は、はい……」

「だが、断らないものは……。喜んでいると判断して続ける」

 彼はそう宣言すると、エクリーユと繋いでいた手を離して小さな身体を抱きしめる。

「今は、どうだ。こうして抱きしめたり、抱きあげたりするのは……嫌か?」

「いいえ……」

「それを聞いて、安心した」

 陛下は紫の瞳を優しく和らげると、エクリーユを抱き上げたまま移動を始めた。

(どこに行くのかしら……?)

 少女は不審がっていたが、目的地にはすぐさま到着する。
 彼は書類が山積みになった執務机の前に置かれた椅子へ座るため、歩みを進めていたらしい。

「なぁん」

 長机の端には、「待ちくたびれたよ」と呆れたように鳴き声を響かせる黒猫の姿がある。
 小動物のことをすっかり忘れていたエクリーユは、嬉しそうに口元を綻ばせて獣を呼んだ。

「黒猫さん!」

「んにゃ……」

 しかし、どうやらその反応をリドディエはよく思わなかったようだ。
 ストンと椅子に腰を下ろした彼は、ムスッと唇をへの字に曲げて少女を抱きしめる力を強めた。
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