虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
(これに許可を出したら、戦争になるわ……!)

 自分を散々虐げてきた家族たちは、どうなっても構わない。
 しかし、あそこにはなんの罪もない国民たちだって暮らしているのだ。

 エクリーユが滅ぼしたいのはあくまで王家の血筋であり、その他大勢は含まれてはいなかった。

「また、顔色が悪くなったな……」

「り、リドディエ……様……っ。それ……!」

 彼がこちらを心配する声など、今の少女には聞こえていない。
 ガタガタと細い腕を小刻みに震わせ、書類を指差した。

「ああ……。気に病む必要はない。あの国の王家は、僕が必ず根絶やしにしてやる」

「こ、国民たちは……!?」

「君は本当に、心優しき姫だな……。あんな奴らと血が繋がっているなど、信じられん……」

 こちらの疑問に答えないあたり、国民たちの安全よりもエクリーユの復讐を終えるころを優先するつもりなのだろう。
 少女は必死に、彼の説得に走る。
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