虐げられた末に復讐を終えた王女は、世界で一番幸せな王妃となる
「私を、守ってくれるの……?」

「ああ。その覚悟がなければ、未来の王妃になどとは言わん」
「誰も……。私のことなんて、気にしてもくれなかった……。ムガルバイト兄様だって……」

「あの男のことは、記憶から抹消しろ」

 紫の瞳が、不愉快そうに細められる。

 ムガルバイトの話では、2人は親友と呼び合うほどに仲がよかったはずだ。

 なのに――彼は兄のことを話題に出すたび、露骨に顔色を変化させる。
 その豹変っぷりに違和感をいだいた少女は、その疑問を解消するべく恐る恐る問いかけた。

「兄様のこと、好きではないの……?」

「アティール王国の人間は、視界にすら入れたくない。あいつは、特に嫌いだ」

 リドディエははっきりとした口調で、ムガルバイトに対する嫌悪感を露わにする。
 なぜ彼がそこまで兄を嫌うのか、エクリーユにはさっぱり理解ができない。

「エクリーユを傷つけた。あの男だけは……」

 紫の瞳には、燃え盛る炎のような憎悪がゆらりゆらりと燃えていた。

「あんな男のことなど、考えないでくれ。今は、目の目にいる僕のことだけで、頭をいっぱいにしてほしい」

「リドディエ様。でも……」

 だけど――。
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