元王太子の俺、島国で王やってます!(※ブロマンス要素あり)
「……イブキ」
「なんだ?」
俺は焼き鳥たちを一旦、木の葉の上に寄せてから、イブキと正面から向き合った。プライバシー配慮に欠けることは重々承知で、訊ねる。
「里を追い出された理由。聞かせてくれないか?」
イブキは眉をぴくりと動かした。数拍置いてから剣呑な声で応えた。
「……俺が話したいと思った時でよかったんじゃないのか?」
「そのつもりだった。でも、なんだか俺が思っている以上に……その、何か重い事実を一人で背負っているような気がして」
「……」
遠くで、川のせせらぎが聞こえる。でも、レノスとリスガが俺たちの後を追いかけてくる気配はない。俺たちを信じて待ってくれているんだろう。
俺はぐっと握り拳を作った。もう一度、頼み込む。
「話してほしい。俺たち、友達じゃないか」
「……違う」
「え?」
「友達などではない。俺が……お前みたいな眩しく優しい男の『友達』になれるはずがない」
「イブキ?」
意味が分からず、ただ声をかけると、イブキは苦しそうな表情で押し黙っている。しかしもう一人では抱えきれないのか、やがて吐露した。
一言では言い表せないほどの、重い罪を。
「……俺は人を殺してしまったことがあるんだ」
「ひと、を……?」
木々の上でさえずする鳥の声が幾重にも聞こえる。その音が少しうるさくて、イブキのか細い声が聞き取りにくい。
「イブキ? ごめん、なんて」
「俺はお前が作る国に住まう資格がない。気を遣わせて……悪かった」
「イブキ!」
森の中へ消えていこうとするイブキの背中。俺は必死で追いかけた。でも、すぐに見えなくなってしまった。
どこに行ったんだ!?
「イブキ!? どこだ!? っ、イブキ――ッッ!」
俺の叫び声が、虚しく森の中に木霊した。
「ええ!? イブキがいなくなった?」
レノスがさっと顔色を変える。
あの後、急いでレノスとリスガの下に戻った俺。二人にただ事実だけを伝えると、レノスはもちろん、リスガも気遣わしげな顔になった。
「ここの森、結構深いんだ。早く探さないと」
「もし、迷子になったら?」
こわごわと聞くと、リスガは遠慮がちに答えた。
「いずれ餓死する、かも……」
「っ!」
なんてことだ。俺は顔を真っ青にして、二人に頼み込んだ。
「イブキを探し出す! 協力してくれ! 二人とも!」