クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
——けれど次の瞬間。
その手は、まるで火に触れたかのようにビクッと震え、強く握りこぶしを作って引っ込められた。

私に触れたい衝動を、必死に、痛々しいほどの理性でねじ伏せているように感じてしまう。

「…………帰るぞ」

掠れた声で立ち上がった先輩は、乱れかけた呼吸を整えるように深く息を吐き、必死にいつもの冷静な表情を取り戻そうとしていた。

「これ以上は、……俺も、責任が持てない」

先輩のその瞳の熱だけで、もう十分だった。
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