クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「……すみません。外の空気に当たったら、急に酔いがきちゃって……」
「……すぐそこにベンチがある。少し休むか?」
「……はい、ちょっとだけ座りたいです」

先輩に肩を貸してもらい、冷たいベンチに腰を下ろす。
私はわざと小さく息を吐いて、微かに肩を震わせた。
隣に座る先輩は、何かを振り払うみたいに静かに何度も息を吐いていたが、ふと私の方を見てつぶやいた。

「……水、買ってこようか。それともタクシー呼ぶか?」

先輩が立ち上がり、ロータリーを見渡した後、すぐにスマホを取り出そうとポケットに手を伸ばす。

(……ダメ。ここでタクシーなんか呼ばれたら、本当に今日が終わっちゃう)

私は弾かれたように手を伸ばし、先輩のコートの袖をきゅっと掴んだ。

「……ううん、大丈夫です。座ったら少し楽になりました。タクシーもいりません」

ゆっくりと顔を上げて、先輩を真っ直ぐに見つめる。
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