クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#26【凛視点】 「自信、なくていいです。一緒にいたいです」——逃げ道のない言葉で先輩を引き止めた夜
最寄り駅の改札を出てから、住宅街へと続く夜道を二人で歩いた。
「……こっちです」
小さくそう告げて、私が半歩だけ前に出る。
「……ああ」
短い返事。それきり、会話は続かなかった。
深夜の駅前は人影もまばらで、乾燥したアスファルトを叩く二人の規則正しい足音だけが響く。
言葉はほとんど交わさないのに、隣にいる気配だけが、やけに近くて――そして、遠い。
二月の夜風が、マフラーの隙間から入り込んで肌を容赦なく冷ましていく。
とっくに酔いは冷め、私の頭は驚くほどクリアになっていた。
(……このまま今日が終わったら、また今までみたいな距離に戻っちゃう……)
胸の奥に、じわじわと焦るような気持ちが広がっていく。
もう少しだけ、この人の側にいたい——そんな想いだけが、静かに心を急き立てていた。
「……こっちです」
小さくそう告げて、私が半歩だけ前に出る。
「……ああ」
短い返事。それきり、会話は続かなかった。
深夜の駅前は人影もまばらで、乾燥したアスファルトを叩く二人の規則正しい足音だけが響く。
言葉はほとんど交わさないのに、隣にいる気配だけが、やけに近くて――そして、遠い。
二月の夜風が、マフラーの隙間から入り込んで肌を容赦なく冷ましていく。
とっくに酔いは冷め、私の頭は驚くほどクリアになっていた。
(……このまま今日が終わったら、また今までみたいな距離に戻っちゃう……)
胸の奥に、じわじわと焦るような気持ちが広がっていく。
もう少しだけ、この人の側にいたい——そんな想いだけが、静かに心を急き立てていた。