クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#27【凛視点】 「もう隠さない、全部打ち明けるよ」——1年半分の距離がゼロになった夜
カチャリ、と重い金属音がして、ドアが閉まった。
続いて、鍵を回す重厚な音が静寂の中に響き渡る。その音が、外の世界との繋がりを断ち切るような響きで耳の奥に残った。
電気もつけないままの部屋は、数分前まで歩いていた夜道の静けさとは、明らかに質が違っていた。カーテンの隙間から差し込む街灯の青白い光が、暗がりに沈む二人の足元を幽かに照らしている。
後ろから、吐息が漏れる音が聞こえた。
玄関の暗がりで、先輩はまだどこか「上司」としての理性を捨てきれないのか、立ち尽くしたまま動こうとしない。
私は、彼のコートの袖をそっと引いた。
「……先輩、こっち、です」
先輩は一瞬だけ躊躇うように息を呑んだが、やがて靴を脱いで私の後についてきた。
そのまま窓際にあるソファへと、私たちはコートを着たまま並んで腰を下ろした。
物理的な距離はあと数センチ。けれどそこにはまだ、「上司と部下」という透明な壁が薄氷のように残っている気がした。
続いて、鍵を回す重厚な音が静寂の中に響き渡る。その音が、外の世界との繋がりを断ち切るような響きで耳の奥に残った。
電気もつけないままの部屋は、数分前まで歩いていた夜道の静けさとは、明らかに質が違っていた。カーテンの隙間から差し込む街灯の青白い光が、暗がりに沈む二人の足元を幽かに照らしている。
後ろから、吐息が漏れる音が聞こえた。
玄関の暗がりで、先輩はまだどこか「上司」としての理性を捨てきれないのか、立ち尽くしたまま動こうとしない。
私は、彼のコートの袖をそっと引いた。
「……先輩、こっち、です」
先輩は一瞬だけ躊躇うように息を呑んだが、やがて靴を脱いで私の後についてきた。
そのまま窓際にあるソファへと、私たちはコートを着たまま並んで腰を下ろした。
物理的な距離はあと数センチ。けれどそこにはまだ、「上司と部下」という透明な壁が薄氷のように残っている気がした。