クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#0【先輩視点】春の陽だまりに撃ち抜かれた俺は、恋を隠すと決めた
4月の初め。
我が社で数年ぶりに迎えられた新入社員が、全社朝礼の場で挨拶を行うことになった。
俺は少し離れた位置から、どこか他人事のようにその光景を眺めていた。
並んだのは、6名。
その右端にいた彼女——御空 凛が口を開いた瞬間、なぜか俺の視線がそこで止まった。
「御空 凛です! 一日も早く戦力になれるよう、精一杯頑張ります。よろしくお願いします!」
ピンと硬く張られた肩と、少しだけ上ずった、けれど真っ直ぐな声。
緊張を隠すように前を見据える瞳。
派手な美人というわけではないが、内側から滲み出る春の陽だまりのようなその明るい笑顔に見惚れている自分がいた。
(……まずい……あの笑顔は…ずっと見ていたくなる)
30歳、主任。部下を導くべき立場の人間が、一回り近く下の新人に抱くにはあまりに不適切な感想。
……俺は湧き上がりそうな好意をありったけの理性で押し殺し、事務的な拍手の中に自分の音を紛れ込ませた。
我が社で数年ぶりに迎えられた新入社員が、全社朝礼の場で挨拶を行うことになった。
俺は少し離れた位置から、どこか他人事のようにその光景を眺めていた。
並んだのは、6名。
その右端にいた彼女——御空 凛が口を開いた瞬間、なぜか俺の視線がそこで止まった。
「御空 凛です! 一日も早く戦力になれるよう、精一杯頑張ります。よろしくお願いします!」
ピンと硬く張られた肩と、少しだけ上ずった、けれど真っ直ぐな声。
緊張を隠すように前を見据える瞳。
派手な美人というわけではないが、内側から滲み出る春の陽だまりのようなその明るい笑顔に見惚れている自分がいた。
(……まずい……あの笑顔は…ずっと見ていたくなる)
30歳、主任。部下を導くべき立場の人間が、一回り近く下の新人に抱くにはあまりに不適切な感想。
……俺は湧き上がりそうな好意をありったけの理性で押し殺し、事務的な拍手の中に自分の音を紛れ込ませた。