クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
五月の連休明け、新入社員歓迎会が開催された。
会場の居酒屋は、仕事終わり特有の熱気と喧騒に包まれている。
俺はいつも通り、同僚たちと適当な雑談を交わしながらグラスを傾けていた。
ふと視線を上げると、少し離れたテーブルで、彼女が色んな人から話しかけられているのが見えた。
新人歓迎会ではよくある光景だろう。
だが彼女の場合、何かが違っていた。意識して場を盛り上げようとしているわけでもない。ただ目の前の会話を楽しんでいるだけなのに——不思議と、その場の空気を柔らかくする雰囲気がある。
天性の明るさ、とでも言うべきか。まるで彼女の周りにだけ、温かな陽だまりができているようだった。
……それに比べて、自分はどうだ。
理詰めで、無口で、不必要なほど周囲に壁を作って生きている。
自分とはまるで住む世界が違う気がした。
(……まあ、関わることもそう多くないだろうが)
そう自嘲しながらも、屈託なく笑うその顔から、どうしても目が離せなかった。
「あの子、明るくていいよな。企画部にはもったいないくらいだ」
同僚が冗談めかして笑う声を聞き流しながら、俺は最後の一杯を煽った。
喉を焼くアルコールの熱さと一緒に、決して許されないこの感情を、心の奥底へと沈めながら。
会場の居酒屋は、仕事終わり特有の熱気と喧騒に包まれている。
俺はいつも通り、同僚たちと適当な雑談を交わしながらグラスを傾けていた。
ふと視線を上げると、少し離れたテーブルで、彼女が色んな人から話しかけられているのが見えた。
新人歓迎会ではよくある光景だろう。
だが彼女の場合、何かが違っていた。意識して場を盛り上げようとしているわけでもない。ただ目の前の会話を楽しんでいるだけなのに——不思議と、その場の空気を柔らかくする雰囲気がある。
天性の明るさ、とでも言うべきか。まるで彼女の周りにだけ、温かな陽だまりができているようだった。
……それに比べて、自分はどうだ。
理詰めで、無口で、不必要なほど周囲に壁を作って生きている。
自分とはまるで住む世界が違う気がした。
(……まあ、関わることもそう多くないだろうが)
そう自嘲しながらも、屈託なく笑うその顔から、どうしても目が離せなかった。
「あの子、明るくていいよな。企画部にはもったいないくらいだ」
同僚が冗談めかして笑う声を聞き流しながら、俺は最後の一杯を煽った。
喉を焼くアルコールの熱さと一緒に、決して許されないこの感情を、心の奥底へと沈めながら。