クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
プレゼンが終わった。得意先の反応は悪くない。だが、彼女は見るからに憔悴しきっていた。
エレベーターの扉が閉まり、二人きりになると彼女が口を開いた。

「……本当に、すみませんでした。私のミスで……」

消え入りそうな声。
俺は一瞬だけ、彼女の方を見た。
泣きそうな顔。その瞳に耐えきれず、俺は反射的にすぐに視線を外して小さく首を横に振る。

「資料自体はとても良かったよ」

努めて穏やかに、彼女の努力を否定しないように言葉を選ぶ。

「数値のところ、あれは完全に俺の確認ミスだ。こっちこそごめん。焦らせてしまって」

エレベーターが開く。
もう十分だ、と自分に言い聞かせる。これ以上近くにいれば、上司として必要以上の言葉をかけてしまいそうで、逃げるようにロビーへ足を踏み出した。
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