クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
帰り道の車内。
横目に映る彼女は、まだ少し気落ちしているように見えた。気まずい沈黙が流れる。

ここで彼女を落ち込ませたまま帰すのは、指導役として失格だ――そう自分に言い聞かせて、俺は再び口を開いた。

「……次、俺がちゃんと確認するから。一緒に頑張ろう」

「はい!」という元気な返事。
その声が少し上ずっていることに、俺は気づかないフリをした。

(……次は、同じ失敗はさせない。次は、もっと君が自信を持って話せるように)

ただ俺の中の「壁」は、早くも綻びだらけになってしまっていた。
窓の外を見つめながら、俺は彼女にバレないように、深く、深く、溜息をついた。
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