クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

#6【先輩視点】褒めたつもりだったのに——「図書館」発言、同僚に全力でツッコまれる

窓の外の街路樹がすっかり色づいた頃。
連日の残業がたたり、俺の頭は朝から鈍く重かった。

定例の朝会。
いつも通り会議室で行われた進捗確認は、トラブルもなく極めて平穏に進行していた。
各担当からの報告をノートに書き留めながらも、意識の半分は睡魔に持っていかれそうになる。

(……いかん、眠い)

ゆっくりと瞬きをして、意識を覚醒させようと視線を上げる。
隣の席で、彼女が真剣な顔で資料にペンを走らせているのが見えた。

(……今日も、真面目だな)

少しだけ視線を向けたものの、今の俺にはそれ以上何かを考えるような脳の余力は残っていなかった。
静かで淡々とした報告の声。ノートをめくる紙の音。室内の適度な温度。
そのすべてが、疲労の溜まった体には心地よすぎる子守唄のようだった。
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