クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
反対隣に座る部長を一瞬だけ意識したが、部長は目の前の担当者との談笑に熱中しているようだった。こちらの会話が耳に入ったとしても、部長が一社員の翌日スケジュールを把握しているとは思えないし、もし知っていたとしても今のトーンなら「現場で何か調整したんだな」と聞き流す程度で済むはずだ。
「おや、それは感心ですねぇ。明日の仕事に響いてはいけませんし、今夜のところは主任に免じて」
担当者の笑い声とともに、場は自然と次の話題へ流れていった。
隣で彼女が小さく息を呑む気配がしたが、俺は決してそちらを見なかった。
目が合えば、隠している焦りや心配が透けてしまいそうだったからだ。
その後も、俺は会話の主導権を握り続けた。
相手の視線が彼女に向かいそうになるたび、さりげなく部長に話題を振り、意識を自分たちの方へと惹きつける。追加の注文を取るふりをして、彼女の前にだけ温かいお茶を頼んだ。
ただひたすらに、彼女の前の障害物を排除する。それだけを徹底した。
「おや、それは感心ですねぇ。明日の仕事に響いてはいけませんし、今夜のところは主任に免じて」
担当者の笑い声とともに、場は自然と次の話題へ流れていった。
隣で彼女が小さく息を呑む気配がしたが、俺は決してそちらを見なかった。
目が合えば、隠している焦りや心配が透けてしまいそうだったからだ。
その後も、俺は会話の主導権を握り続けた。
相手の視線が彼女に向かいそうになるたび、さりげなく部長に話題を振り、意識を自分たちの方へと惹きつける。追加の注文を取るふりをして、彼女の前にだけ温かいお茶を頼んだ。
ただひたすらに、彼女の前の障害物を排除する。それだけを徹底した。