クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
翌朝、彼女から欠勤の連絡が入った。
当然だ。あんな状態で最後まで愛想笑いを浮かべていたのだから。

俺は朝一番で彼女のタスクを引き継ぎ、急ぎの案件をすべて処理した。
ひと段落ついたところで、彼女の社用アドレスにメールを打つ。

『しっかり休んで、まずは治すことに専念するように。何か困ったことがあれば――』
……そこまで打って、俺はバックスペースキーを押し続けた。

こんなプライベートに踏み込むようなメッセージ、上司が送るべきじゃない。
ただでさえ責任感の強い彼女だ。余計な心配をさせず、仕事の穴は埋まっているという事実だけを伝えるのが、一番の薬になるはずだ。

『件名:資料の件
 本文:資料の件は対応済み。お大事に。』

たった二行の、無味乾燥な業務連絡。
送信ボタンを押した画面を見つめながら、俺は小さくため息をついた。

(早く、良くなるといいが)

絶対に表には出せないその本音ごと、俺はパソコンのモニターの奥へと押し込めた。
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