クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「……ありがとう」
彼女が足早に席に戻った後。もらった箱をパソコンスタンドの隅に置き、俺はそっと息を吐き出した。
嬉しかった。ただ、彼女が俺の好みを考えて選んでくれたという事実が、思った以上に心に残った。
……と同時に、俺の中で今まで頑なに蓋をしていた「ある仮説」が、不意に頭をもたげた。
(……いや、あり得ない……)
……自惚れるな。これはただの上司への気遣いだ。
必死で理性を総動員し、緩みそうになる口元を引き締めて、俺はモニターに向かった。
午前中は意識して普段通りに過ごした。必要な連絡だけを交わし、資料を確認し、メールを返す。彼女とも何度か言葉を交わしたが、それ以上のことは何もない。
——そうだ。それでいい。
余計な意味を見出さず、いつも通り仕事をする。それが上司として正しい距離感だ。
そうやって気持ちを整えたつもりだった。
彼女が足早に席に戻った後。もらった箱をパソコンスタンドの隅に置き、俺はそっと息を吐き出した。
嬉しかった。ただ、彼女が俺の好みを考えて選んでくれたという事実が、思った以上に心に残った。
……と同時に、俺の中で今まで頑なに蓋をしていた「ある仮説」が、不意に頭をもたげた。
(……いや、あり得ない……)
……自惚れるな。これはただの上司への気遣いだ。
必死で理性を総動員し、緩みそうになる口元を引き締めて、俺はモニターに向かった。
午前中は意識して普段通りに過ごした。必要な連絡だけを交わし、資料を確認し、メールを返す。彼女とも何度か言葉を交わしたが、それ以上のことは何もない。
——そうだ。それでいい。
余計な意味を見出さず、いつも通り仕事をする。それが上司として正しい距離感だ。
そうやって気持ちを整えたつもりだった。