クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

#12【先輩視点】「俺は月だから」——身を引く覚悟で告げた言葉を、彼女は笑って「可愛い」と言った

二月。プロジェクトは佳境を迎えつつあった。

その裏で、俺は着々と「体制変更」の準備を進めている。部長とのすり合わせも終盤だ。彼女を新設ユニットのリーダーにする。それは彼女のキャリアにとって最善の選択であり、何より俺がこれ以上「上司」という一線を越えないための、唯一の防波堤だった。

(これでいい。これが一番正しい)

毎日そう自分に言い聞かせているのに……
彼女の隣で一つの画面を覗き込み、他愛のない言葉を交わすたびに、残された時間を惜しむような醜い執着が頭をもたげてしまう。

それでも、日々は容赦なく過ぎていった。
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