クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「みんな、りんりんの話になると前のめりになるんだよな。気づいてるか? 君が喋り始めると、会議室の空気が変わる」
「そんな、大げさですよ」
「大げさじゃない。……紛れもない事実だ」

彼女が周りを惹きつける力。それは俺のような理屈で固まった人間には到底持ち得ない、天性の輝きだった。
手元のノートを閉じて立ち上がり、少しだけ目線を上に向ける。

「……りんりんは、太陽みたいだな」

ぽつりとこぼれたその言葉は、俺なりの最大の賛辞であり、同時に諦めの宣告でもあった。

自ら光を放ち、周囲を温める彼女は太陽だ。
それに比べて俺はどうだ。陰に隠れ、彼女の光を反射してようやく存在しているだけの、冷たくて暗い月だ。
太陽のそばに、月は似つかわしくない。同じ空に並び立つことなど、決して許されない。

「俺は月だから。……君が眩しくて、時々、どうすればいいか分からなくなるよ」

(だから、俺は君から離れなければならない)

その言葉は飲み込み、ただ純粋な事実だけを口にしたつもりだった。
なのに……
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