【凛視点】クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
飲み会が終わり、夜の涼しい風に吹かれながら、私は同期たちと一緒に駅へと向かっていた。
「……でさ、さっきの課長の絡み、超ウケなかった!?」
「あー、あれね! りんりんも見てたでしょ?」
「えっ? あ、うん……すごかったね、面白かった!」
同期たちの賑やかな笑い声に合わせ、「あはは」と口角を上げる。けれど、その相槌はどこか空回っていた。
みんながさっきの宴会の話で盛り上がる中、私の脳裏には、座敷の向こう側でふっと目尻を下げて笑っていた先輩の横顔が繰り返し流れている。
(あんな風に笑うんだ、先輩って……)
「……ねぇりんりん、さっきからちょっとボーッとしてない? まだ酔ってる? 大丈夫?」
「え!? あ、全然大丈夫! 風が気持ちいいなーって思ってただけ!」
慌てて早歩きになり、同期たちの輪に混じろうとする。
けれど、駅の改札が見えてくるまでの間、何度も夜空を見上げては、知らず知らずのうちに小さく溜息をついていた。
知らなかった顔を、一つ、見てしまった。
それだけのことなのに、なぜかずっと、胸の奥がそわそわしている。
(……やめよう。先輩は先輩だし。明日になれば、またあのいつもの先輩に戻ってるんだから)
自分に言い聞かせるように、夜風の中を歩いた。
けれど、同期たちの楽しげな話し声をBGMにしながら、私の口元には——誰にも気づかれないほどの微かな笑みが浮かんでいた。
「……でさ、さっきの課長の絡み、超ウケなかった!?」
「あー、あれね! りんりんも見てたでしょ?」
「えっ? あ、うん……すごかったね、面白かった!」
同期たちの賑やかな笑い声に合わせ、「あはは」と口角を上げる。けれど、その相槌はどこか空回っていた。
みんながさっきの宴会の話で盛り上がる中、私の脳裏には、座敷の向こう側でふっと目尻を下げて笑っていた先輩の横顔が繰り返し流れている。
(あんな風に笑うんだ、先輩って……)
「……ねぇりんりん、さっきからちょっとボーッとしてない? まだ酔ってる? 大丈夫?」
「え!? あ、全然大丈夫! 風が気持ちいいなーって思ってただけ!」
慌てて早歩きになり、同期たちの輪に混じろうとする。
けれど、駅の改札が見えてくるまでの間、何度も夜空を見上げては、知らず知らずのうちに小さく溜息をついていた。
知らなかった顔を、一つ、見てしまった。
それだけのことなのに、なぜかずっと、胸の奥がそわそわしている。
(……やめよう。先輩は先輩だし。明日になれば、またあのいつもの先輩に戻ってるんだから)
自分に言い聞かせるように、夜風の中を歩いた。
けれど、同期たちの楽しげな話し声をBGMにしながら、私の口元には——誰にも気づかれないほどの微かな笑みが浮かんでいた。