【凛視点】クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

#5 昼休みの輪と、孤独な横顔。どうして先輩のことが気になるんだろう

秋風が心地よくなってきた頃、プロジェクトは四ヶ月目に差し掛かり、私の仕事にも少しずつ余裕が生まれてきていた。

余裕が生まれると、周りが見えるようになる。
自分のデスクの周りに、気づけばいつも誰かがいること。昼休みにお弁当を広げると、なんとなく人が集まってくること。
私自身は、特に何かをしているわけじゃない。ただ、話しかけられたら答えるし、面白いことがあれば笑う。
それだけのことなのに——。

「りんりん、今日のお弁当なに?」
「卵焼きとか、あと昨日の残りの——」
「え、手作り? えらすぎ。ちょっと一口もらっていい?」
「じゃあ、その美味しそうな唐揚げと交換ならいいですよ?」
「えっ、私のメインおかず狙ってる!? 厳しい!(笑)」

笑い声が上がる。営業部の同期、企画部の先輩、総務の女の子——いつの間にか、部署をまたいで輪ができていた。
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