クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#14【先輩視点】「大丈夫だ」——突き放すように聞こえたとしても、それが俺なりの信頼だった
彼女のユニットが独立して四ヶ月。
フロアの向こう側から聞こえてくる報告や、共有サーバーに上がってくる数字を見るたびに、俺の胸には静かな誇らしさが広がっていた。
(……やはり、俺の見立てに間違いはなかった)
彼女は、俺が想像していた以上のスピードで「リーダー」としての顔つきになっていった。SNS施策の成功は社内でも高く評価され、彼女を抜擢した俺の判断を疑う者はもういない。
物理的に距離を置いた効果は、絶大だった。
はじめの数週間こそ、当たり前のように隣で打ち合わせをする機会がなくなった違和感と、ふとした瞬間に漂っていたあの甘い香りを感じなくなった寂しさに襲われた。だが、人間というのは恐ろしいほど環境に適応する生き物だ。
実務的なやり取りだけに絞り、感情の機微を徹底的に排除した生活を続けるうちに、俺は少しずつ、かつての「冷徹な効率主義者」としての自分を取り戻しつつあった。
(これでいい。この距離こそが、お互いにとっての正解なんだ)
そう自分に言い聞かせ、平穏な日常に浸っていた、ある日の午後。
西日の差し込む給湯室で、俺は彼女と二人きりになった。
フロアの向こう側から聞こえてくる報告や、共有サーバーに上がってくる数字を見るたびに、俺の胸には静かな誇らしさが広がっていた。
(……やはり、俺の見立てに間違いはなかった)
彼女は、俺が想像していた以上のスピードで「リーダー」としての顔つきになっていった。SNS施策の成功は社内でも高く評価され、彼女を抜擢した俺の判断を疑う者はもういない。
物理的に距離を置いた効果は、絶大だった。
はじめの数週間こそ、当たり前のように隣で打ち合わせをする機会がなくなった違和感と、ふとした瞬間に漂っていたあの甘い香りを感じなくなった寂しさに襲われた。だが、人間というのは恐ろしいほど環境に適応する生き物だ。
実務的なやり取りだけに絞り、感情の機微を徹底的に排除した生活を続けるうちに、俺は少しずつ、かつての「冷徹な効率主義者」としての自分を取り戻しつつあった。
(これでいい。この距離こそが、お互いにとっての正解なんだ)
そう自分に言い聞かせ、平穏な日常に浸っていた、ある日の午後。
西日の差し込む給湯室で、俺は彼女と二人きりになった。