クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
昼下がり、フロアの向こうから彼女たちの歓声が上がった。
「予算が通った」という喜びの声が、遠くから波のように押し寄せてくる。

(……それでいい、りんりん。君が自分の力で、この厚い壁をぶち破ったんだ)

俺はその喧騒を心地よく聞き流しながら、パソコンの画面へと視線を戻し、自らの業務へと意識を切り替えた。

――それから数時間が経過した、夕刻。

「……お世話になっております。先ほどお送りしたスケジュールの件ですが」

淡々と事務的な確認を進める。電話の向こう側でクライアントと打ち合わせを終え、カチャリと受話器を置いた。
一仕事を終えた安堵感とともに小さく息を吐き、ふと顔を上げると、彼女がちょうど執務室の入り口に立っていた。

喧騒に包まれるオフィスの中で、そこだけが切り取られたように静かだった。
不意に、視線がぶつかる。
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