クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
『SNS連動スタンプラリー、大盛況! 来場者の反応も上々です!』
チャットツールに次々と流れてくる現場からの報告と、賑やかな写真の数々。
ついさっきまで自分の目で見ていた光景が、画面の中で更新され続けている。
「……よくやったな、りんりん」
誰にも聞こえない声で呟き、キーボードから手を離す。
右手の親指の付け根には、昨夜カッターを握りすぎたせいか、微かに鈍い痛みが残っていた。けれど、不思議と悪い気はしない。
画面の中で誇らしげな笑顔を見せる彼女の姿は、もう「危なっかしい後輩」ではなかった。
自分の足で立ち、チームを束ね、このSNS施策を成功に導いた立派なリーダーだ。
(……もう、俺が裏で手を引く必要はない)
胸の奥に広がるのは、部下の成長を見届けた安堵感。
けれどそれと同時に、自分の中から何かが静かに抜け落ちていくような感覚もあった。
俺はゆっくりと息を吐き、デスクの一番下の引き出しを開けた。
そこには一年半前、彼女が一番最初に持ってきた「初期企画書」が眠っている。
チャットツールに次々と流れてくる現場からの報告と、賑やかな写真の数々。
ついさっきまで自分の目で見ていた光景が、画面の中で更新され続けている。
「……よくやったな、りんりん」
誰にも聞こえない声で呟き、キーボードから手を離す。
右手の親指の付け根には、昨夜カッターを握りすぎたせいか、微かに鈍い痛みが残っていた。けれど、不思議と悪い気はしない。
画面の中で誇らしげな笑顔を見せる彼女の姿は、もう「危なっかしい後輩」ではなかった。
自分の足で立ち、チームを束ね、このSNS施策を成功に導いた立派なリーダーだ。
(……もう、俺が裏で手を引く必要はない)
胸の奥に広がるのは、部下の成長を見届けた安堵感。
けれどそれと同時に、自分の中から何かが静かに抜け落ちていくような感覚もあった。
俺はゆっくりと息を吐き、デスクの一番下の引き出しを開けた。
そこには一年半前、彼女が一番最初に持ってきた「初期企画書」が眠っている。