クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
#18【先輩視点】「全て終わったら返そうと思ってた」——一年半隠していた初期企画書を渡した夜
忘年会シーズンで浮き足立つ街の喧騒から切り離されたように、九階のフロアはひっそりと静まり返っていた。
(……今頃、盛大に祝杯を挙げている頃だろうな)
急ぎの案件が重なったのは事実だ。だが、忘年会も兼ねた打ち上げに参加しなかったのはそれだけが理由でないことは俺自身が一番よく分かっていた。
パソコンのモニターに向かいながら、思いを馳せる。
イベントの大成功。彼女がユニットリーダーとして立派にやり遂げたという事実は、自分のこと以上に誇らしい。
けれど、その輪の中に自分がいないという現実から目を逸らすように、俺は無心でキーボードを叩いていた。
その時、静寂を破るように、フロアの入り口の扉が開いた。
足音を殺して入ってきた小さな影に、思わず手が止まった。
(……りんりん?)
なぜ彼女がここにいるのか。今回の主役とも言える彼女が、打ち上げをこんな時間に切り上げるはずがない。
動揺を隠し、あくまで「仕事中の上司」の顔を作ってモニターを睨み続けていると、フロアの向こう側から控えめな声が響いた。
(……今頃、盛大に祝杯を挙げている頃だろうな)
急ぎの案件が重なったのは事実だ。だが、忘年会も兼ねた打ち上げに参加しなかったのはそれだけが理由でないことは俺自身が一番よく分かっていた。
パソコンのモニターに向かいながら、思いを馳せる。
イベントの大成功。彼女がユニットリーダーとして立派にやり遂げたという事実は、自分のこと以上に誇らしい。
けれど、その輪の中に自分がいないという現実から目を逸らすように、俺は無心でキーボードを叩いていた。
その時、静寂を破るように、フロアの入り口の扉が開いた。
足音を殺して入ってきた小さな影に、思わず手が止まった。
(……りんりん?)
なぜ彼女がここにいるのか。今回の主役とも言える彼女が、打ち上げをこんな時間に切り上げるはずがない。
動揺を隠し、あくまで「仕事中の上司」の顔を作ってモニターを睨み続けていると、フロアの向こう側から控えめな声が響いた。