クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
そして迎えた、年明けの全社新年会。

会場の熱気の中、遠くの席で笑う彼女の姿をなるべく視界に入れないよう、俺はいつもより少しだけペースを上げてグラスを煽っていた。
意識しないようにすればするほど、彼女の声ばかりが耳に届く。
その矛盾から逃げるように、俺は「酔いが回った」と適当な理由をつけて早めに店を抜け出した。

——1月の冷たい夜風が、アルコールで火照った頭を少しだけ冷ましてくれる。
一人で駅へと向かう静かな帰り道。これでもう、元の日常に戻れるはずだった。

「……先輩! お疲れ様です」

後ろから響いたその声に、心臓が大きく跳ねた。
振り返ると、息を切らした彼女が立っていた。

「……あ、ああ。りんりんか。……お疲れ様。飲み会はどうしたんだ?」

なぜ彼女がここにいるのか。動揺を悟られないように平坦な声を出したつもりだったが、酔いのせいか、自分でもわかるほど目元が緩んでしまっている気がした。
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