クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
翌朝、いつもより少し早く出社した。
フロアにはまだ数人しかいない。先輩の席は、まだ空だった。
自分のデスクに鞄を置いてから、コーヒーの詰め合わせを手に持って——そのまま、しばらく動けなかった。
(……どうやって渡せばいいんだろ)
当たり前のように渡せばいい。ただのお礼なんだから。でも、なぜか足が動かない。
(……先輩の顔を見たら、絶対に緊張する)
そうこうしているうちに、エントランスの方から先輩が入ってくるのが見えた。
心臓が、跳ねる。
先輩が自分のデスクへ着くのを見計らって、意を決して立ち上がった。
「……先輩、おはようございます」
「ああ。おはよう」
低い声。いつも通りの、静かな返事。
「あの、これ…良かったら」
私は、コーヒーの詰め合わせを差し出した。
「傘の件とか、接待の時とか……色々お世話になりっぱなしだったので。ちゃんとお礼を言いたくて、でもタイミングがなくて……遅くなっちゃいましたけど」
早口になってしまった。
フロアにはまだ数人しかいない。先輩の席は、まだ空だった。
自分のデスクに鞄を置いてから、コーヒーの詰め合わせを手に持って——そのまま、しばらく動けなかった。
(……どうやって渡せばいいんだろ)
当たり前のように渡せばいい。ただのお礼なんだから。でも、なぜか足が動かない。
(……先輩の顔を見たら、絶対に緊張する)
そうこうしているうちに、エントランスの方から先輩が入ってくるのが見えた。
心臓が、跳ねる。
先輩が自分のデスクへ着くのを見計らって、意を決して立ち上がった。
「……先輩、おはようございます」
「ああ。おはよう」
低い声。いつも通りの、静かな返事。
「あの、これ…良かったら」
私は、コーヒーの詰め合わせを差し出した。
「傘の件とか、接待の時とか……色々お世話になりっぱなしだったので。ちゃんとお礼を言いたくて、でもタイミングがなくて……遅くなっちゃいましたけど」
早口になってしまった。