クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日

#14【凛視点】「リーダーは君だろ」―仕事で結果を出した私に先輩がくれたのは『信頼』という拒絶でした

SNSユニットのリーダーを任されてからの日々は、息をつく暇もないほど怒涛のように過ぎ去った。

初めてのマネジメントに悩み、壁にぶつかりながらも、私はただ「先輩に後悔させない結果を出す」という決意だけを胸に、必死で駆け抜けてきた。

そうして四ヶ月が経った、七月。
プロジェクトの公式アカウントは、私が企画したキャンペーンで過去最高のエンゲージメントを記録していた。メンバーも私の熱意に応えてくれ、チームとしての「形」が少しずつ、けれど確実に出来上がってきている。

数字は、ちゃんと出ている。
結果は、誰の目にも明らかだ。

(……なのに)

私は自分のデスクで、フロアの向こう側をそっと見やった。
以前は頻繁な打ち合わせのたび、すぐ隣で同じ資料を覗き込んでいたあの横顔。
実務的な報告以外で言葉を交わす機会は、驚くほど減ってしまった。

(……真っ先に、先輩に報告したかったな)

過去最高のエンゲージメント。先輩が私を信じて、この場所へ送り出してくれたから、ここまで来られた。
そう伝えたいのに、今の私には彼に話しかける適切な「口実」が見当たらない。
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