クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
「ちょっと、りんりん、もしかして本人から聞いてなかった?」
「……うん。何も」
「やば、地雷踏んだかも! 今の、絶対本人には言わないでよ? あの人、自分が裏で動いたのがバレるの一番嫌いそうじゃん。俺がペラペラ喋ってたのがバレたらどんなに詰められるか……。いい? 本当に内緒で! 俺もチラッと小耳に挟んだだけだから!」
「……分かってる。誰にも言わないから、大丈夫」
なんとかそれだけ返すと、同期は「頼むよー!」と言い残して、逃げるように給湯室を出ていった。
一人取り残された私は、胸の奥から熱いものが一気に込み上げてくるのを感じた。耐えきれず壁に手をついて立ち尽くす。
(……先輩。ずるい。本当に、ずるい人だ)
本当なら今すぐ彼のデスクへ走って行ってお礼を言いたい。
けれど、同期との約束もある。何より先輩が何も言わなかったということは、自分でやり遂げたという自信を私に持たせたかったからではないだろうか。…その思いをこんな告げ口のような形で台無しにするわけにはいかない。
「……うん。何も」
「やば、地雷踏んだかも! 今の、絶対本人には言わないでよ? あの人、自分が裏で動いたのがバレるの一番嫌いそうじゃん。俺がペラペラ喋ってたのがバレたらどんなに詰められるか……。いい? 本当に内緒で! 俺もチラッと小耳に挟んだだけだから!」
「……分かってる。誰にも言わないから、大丈夫」
なんとかそれだけ返すと、同期は「頼むよー!」と言い残して、逃げるように給湯室を出ていった。
一人取り残された私は、胸の奥から熱いものが一気に込み上げてくるのを感じた。耐えきれず壁に手をついて立ち尽くす。
(……先輩。ずるい。本当に、ずるい人だ)
本当なら今すぐ彼のデスクへ走って行ってお礼を言いたい。
けれど、同期との約束もある。何より先輩が何も言わなかったということは、自分でやり遂げたという自信を私に持たせたかったからではないだろうか。…その思いをこんな告げ口のような形で台無しにするわけにはいかない。