クールで無口な先輩、実は天然で優しすぎる。――新人の私がその距離をゼロにするまでの600日
程なくして、フロア奥から制作部のデザイナーと営業部の課長が駆けつけてくれた。
「事情は聞いた。手伝うよ!」
「ありがとう……ございますっ……!」
けれど、そこに肝心の先輩の姿はまだなかった。
どこへ行ったんだろう——。不安がよぎりかけた、その時だった。
「……ったく、こんな時間になんかザワザワしてるなと思ったら」
フロアの奥から、聞き慣れた声が響いた。
「エースの主任に『部長の腕が必要なんです』なんて頭を下げられちゃあ、帰れるわけないだろうが。カハハッ!」
ネクタイを緩め、カッターをポケットから取り出しながら現れたのは、先輩に促されるようにして歩いてくる部長だった。
「ぶっ、部長……! 申し訳ありません、こんな時間に……!」
「いいんだよ御空くん! 私を会議ばかりしてる上司と思ってたら大間違いだ。私の指先はな、まだアナログ時代のカッターの感触を覚えてるんだからな!」
こうして始まった、思いがけないメンバーによる深夜の修正作業。絶望に沈んでいた空気が、一瞬で熱を帯びた戦場に変わった気がした。
「事情は聞いた。手伝うよ!」
「ありがとう……ございますっ……!」
けれど、そこに肝心の先輩の姿はまだなかった。
どこへ行ったんだろう——。不安がよぎりかけた、その時だった。
「……ったく、こんな時間になんかザワザワしてるなと思ったら」
フロアの奥から、聞き慣れた声が響いた。
「エースの主任に『部長の腕が必要なんです』なんて頭を下げられちゃあ、帰れるわけないだろうが。カハハッ!」
ネクタイを緩め、カッターをポケットから取り出しながら現れたのは、先輩に促されるようにして歩いてくる部長だった。
「ぶっ、部長……! 申し訳ありません、こんな時間に……!」
「いいんだよ御空くん! 私を会議ばかりしてる上司と思ってたら大間違いだ。私の指先はな、まだアナログ時代のカッターの感触を覚えてるんだからな!」
こうして始まった、思いがけないメンバーによる深夜の修正作業。絶望に沈んでいた空気が、一瞬で熱を帯びた戦場に変わった気がした。